『25時』(25th hour)2002米

25時 スペシャル・エディション [DVD]
 麻薬の売買で逮捕された男が刑務所に収監されるまでの25時間。
 なんとも言えぬタッチだ。前衛的な演出を見せるかと思えば、俗っぽい映像を見せ続ける。ニューヨーカーたちの心模様を象徴的に映像化しているのかと思えば、話は現実的である。虚構を効果的に使おうとしているのか、気まぐれで使っているのかも判然としない。なんだか中途半端で流れもぶつ切れのような感じがするのだが、孤独で物憂げで哀しい雰囲気が全体に流れている。書いていてなんだか分からなくなってきたが、不思議な感触の映画だ。
 3人の男の友情が描かれている。彼らに共通しているのはかつて同じ学校に通ったということだけ。家庭環境も違えば性格も違う。職業も薬の売人、株のエリート、高校教師とバラバラ。しかし、彼らはつながっている。お互いの個性を尊重し、お互いの個性を軽蔑しない。そして干渉もしない。いい感じの友情である。
 グラウンド・ゼロを見下ろしながらニューヨーカーが会話するシーンがある。グラウンド・ゼロとは全く関係ない会話。なぜグラウンド・ゼロを見せるのか。単なる演出家の思いなのか。