『タワーリング・インフェルノ』(The Towering Inferno)1974米

タワーリング・インフェルノ [DVD]
 古い映画、しかも166分という大作なのでなかなか事件はおきない。最近の映画はテンポよく事件から始まって、いきなり興奮させられる。最近のテンポがいい――つまり手っ取り早いコンビニみたいな映画は短時間で盛り上がって見終わったら何も頭に残らない。
 でも、昔の映画はじれったいほど前段があって、じわじわと盛り上がっていく。そのじわじわとした盛り上がり方があるからこそ映画の世界に引き込まれていく。何年たっても忘れられない映画となる。
 同じ高層ビルを舞台にしても、今なら『ダイハード』のようにテロリストが主役となり、人を恐怖のどん底に落とし入れるのは人間だ。しかし、]『タワーリング・インフェルノ』では人を恐怖に落とし入れるのは人間ではない。直接の原因は人間かもしれないが、恐怖を感じる対象は人ではない。炎でもない。明確に見えない怖さを感じる。それゆえに忘れられなくなる。
 主演はスティーヴ・マックィーンポール・ニューマン。二大ビッグスターの競演だ。編集にも気をつかったらしく、ほぼ交互に出演シーンがあり、見所が作られ、カットも均等だった。最後のタイトルバックで出演者の名前が出るが、左にスティーブ・マックィーン、右にポール・ニューマンの名前がでかでかと出ていたが、一行分だけポール・ニューマンのほうが上に位置していた。ポール・ニューマンのほうが格が上だったのだろう。
 でも、ボクが好きなのはロバート・ワグナー。恋人と二人炎の中に取り残される。助けを呼びに行くために猛火の中に飛び込んで行き……。