帰省

 昼過ぎの飛行機で福岡へ。両親に迎えに来てもらう。
 奥様は少し元気になった。咳もそれほどひどくない。相変わらず食欲がないのが心配。
 朝はパンを食べられず、お粥を食べた。羽田空港に向かう途中の浜松町でミックスジュースを飲んで、オムライスを少しだけ食べた。夜は両親と4人で近所の中華料理屋にいって冷麺を半人前とギョウザを2個ほど食べた。それだけ。
 それでも少し元気が出たようで、明日のお好み焼きパーティの材料を買いにスーパーにいった。

点滴

 皆はまだ仕事をしているが、奥様の風邪を理由に先に帰って来た。倒れて点滴打ってますと少し大袈裟にいって……。
 ダウンしているのは事実だ。朝、ボクの朝ごはんを作るとそのまま寝込んでしまった。点滴を打ったのも事実だ。でも、点滴を打ったのは昼で、点滴が終わると家に帰り家で寝ている。
 明日、飛行機で九州の実家にいく予定にしていたが日延べした。大丈夫かいな。

出張の夜

 今夜は大変な目にあった。省略して書く。
 今日、提出期日の非公式な報告をしなかったので怒られた。
 羽田空港滑走路で30分ほど足止め。鳥にぶつかった飛行機が立ち往生して滑走路を一本ふさいだため。
 機長は天候がいいので挽回するといっていたが、広島空港の雷雲のため、一度目の着陸を断念して急上昇、コースを変えて再トライで着陸。25分遅れ。
 気圧の変化に左耳が耐えられず、着陸体勢に入ってから30分ほど耳の激痛と戦う。着陸してからも1時間ほどいたかった。
 雨上がりの広島は蒸し風呂。
 最寄りのJRの駅まで路線バスで15分のはずが、30分立ってもつかなかった。やっと着いて降りたらJR三原駅。全く反対の方向だった。
 三原駅発の電車は1時間待ち。しかも最終電車。しかも目的地までJRで40分近くかかる。
 1時間待つことにしてコンビニで地図を広げる。今どこにいるのか確認したかった。調べてみると新幹線の東広島駅と目的地は5キロほど。駅員は全く違う場所でとんでもない方角だといっていた。あわてて新幹線に飛び乗る。改札を通る時には発車のベルがなっていた。
 新幹線で一駅。東広島駅からホテルまでタクシーで10分ほど、2000円。
 ホテルに着くと11時過。腹減った。コンビニまで5分という。フロントでカップめん150円を買った。

『タワーリング・インフェルノ』(The Towering Inferno)1974米

タワーリング・インフェルノ [DVD]
 古い映画、しかも166分という大作なのでなかなか事件はおきない。最近の映画はテンポよく事件から始まって、いきなり興奮させられる。最近のテンポがいい――つまり手っ取り早いコンビニみたいな映画は短時間で盛り上がって見終わったら何も頭に残らない。
 でも、昔の映画はじれったいほど前段があって、じわじわと盛り上がっていく。そのじわじわとした盛り上がり方があるからこそ映画の世界に引き込まれていく。何年たっても忘れられない映画となる。
 同じ高層ビルを舞台にしても、今なら『ダイハード』のようにテロリストが主役となり、人を恐怖のどん底に落とし入れるのは人間だ。しかし、]『タワーリング・インフェルノ』では人を恐怖に落とし入れるのは人間ではない。直接の原因は人間かもしれないが、恐怖を感じる対象は人ではない。炎でもない。明確に見えない怖さを感じる。それゆえに忘れられなくなる。
 主演はスティーヴ・マックィーンポール・ニューマン。二大ビッグスターの競演だ。編集にも気をつかったらしく、ほぼ交互に出演シーンがあり、見所が作られ、カットも均等だった。最後のタイトルバックで出演者の名前が出るが、左にスティーブ・マックィーン、右にポール・ニューマンの名前がでかでかと出ていたが、一行分だけポール・ニューマンのほうが上に位置していた。ポール・ニューマンのほうが格が上だったのだろう。
 でも、ボクが好きなのはロバート・ワグナー。恋人と二人炎の中に取り残される。助けを呼びに行くために猛火の中に飛び込んで行き……。

重曹

 二人を駅までおくった帰り、ドラッグストアにより重曹を買った。重曹生ゴミの匂い消しと排水パイプの掃除のために買おうとしたのだが、薬局のおじさんが胃薬としてもいいんだよと教えてくれた。痛みはとれないが、胃の不快感はなくなるらしい。
 重曹は大きな箱と小さな箱のものが一箱ずつあった。大きな箱はおじさんが自分で胃薬用に取り寄せたものだそうだ。おじさんは洗濯石鹸ほどの箱の重曹をカウンターの上にデンと置くと、重曹はよく効くんだよと、飲み方のコツと効能を熱く語り始めた。
 3グラムほど――小さじ半分より多め――を水で少しずつ飲むんだそうだ。一気に飲んではいけないらしい。空気も一緒に少しずつ飲むのである。しばらくするとゲップが出るという。大きなゲップが3回ほど出たらすっきりするとおじさんは嬉しそうだった。
 奥様がほうほうと頷きながら聞くものだから、おじさんは調子づいてきた。大きな声じゃ言えないけど市販の薬なんてダメ、重曹を飲んだら一日もしないうちに上から下からどんどん出る――というところで少し言葉を飲んだ。女性を前に「下から出る」といってしまったので調子に乗り過ぎたと思ったようだ。
 ボクはお好み焼きを食べ過ぎた。胃がむかついていてゲップをしたいとずっと思っていた。家に帰ると早速飲んでみた。おじさんのいう通り、水で少しずつ飲んだ。重曹は塩味がした。薄い塩水を飲んでいる感じだった。30分ほどして小さなゲップが出た。1時間ほどで大きなゲップが出た。すっきりした。それから小刻みに小さなゲップがあり、大きなゲップは確かに3回だった。でも下からは出ていない。
 奥様も一緒に飲んだ。奥様はすぐに大きなゲップが1回出た。奥様は少しずつ飲まずに一気に飲んでしまった。そのせいか、大きなゲップは1回だけだったようだ。

だしお好み焼き

 会社の女性陣、篠原さんと風間さんが遊びに来た。二人はボクの同僚であり、奥様の友達である。
 奥様自慢のお好み焼きを食べてもらった。大阪の主婦が作るお好み焼きということで、江戸っ子の篠原さん、静岡の風間さんは大喜び。普通のソースを塗ったお好み焼きと、出汁につけて食べるお好み焼きを出した。
 東京に来て初めて奥様が焼いたお好み焼きは失敗だった。美味しくなかった訳ではない。普通に美味しかっただけだ。やはり、豚肉や魚介類といった材料、そしてソースが大阪で焼いていた時と同じものが手に入らなかったのが原因らしい。
 今回は材料を厳選したので、前回とは違ったお好み焼きになった。特に出汁お好み焼きは絶品で、お客様二人も大喜びだった。
 出汁お好み焼きは、普通のお好み焼きと材料は同じである。キャベツを細かく刻み、山芋を多めに入れるのがコツだそうだ。後は普通に焼くだけである。
 出汁は普通の出汁。そばやうどんの出汁より薄めだろうか。薬味はネギと七味だ。きざみ海苔をふってもいいかも知れぬ。焼けたお好み焼きを箸で切って出汁につけて食べる。明石焼みたいなものだ。
 普通のお好み焼きだと、ソースやマヨネーズを塗るので味は濃厚である。出汁お好み焼きはさっぱりしている。女性には出汁お好み焼きの方が好評だった。
 お好み焼きの後はお土産でもらった渋谷の黒胡麻団子を食べ、鎌倉五郎のアイス最中を食べて雑談。女性はよくしゃべる。12時に来てから5時頃帰るまでしゃべりっぱなしだった。