昭和のいるこいる
のいるこいるはいい。
「しょうがねえ」
一言でなんでも済ませてしまう。すっぱりとあきらめてしまう潔さ。執着がない。さっぱりしている。そこには僻みがない。
「楽しいこと考えて生きなきゃね」
常に前向きである。後ろは振り向かない。ポジティブである。
「信念? そんなもんないやね、信念なんてあったってなんにもなんないからね」
気楽である。軽やかである。
逃げているようにも見える。でも逃げはしない。ぶち当たる。ぶち当たってもすぐに立ち上がり、軽やかに前に進む。
「俺ってさ、素直だから、とにかく謝っちゃうもんね」
己に執着がないから腰が低い。謝っても心から謝るわけではない。謝らずにひと悶着起こすより先に進んだ方がいいってところだ。
なんか無責任でいいかげんに見える。でも、執着しないというのは難しい。前に進み続けるのは疲れる。でも、のいるこいるはそれを軽くやってしまおうとする。