『吾輩は猫である』夏目漱石著(青空文庫)

吾輩は猫である (角川文庫)
 何度目か解らぬ。何度読んでも面白い。おそらく、というか断言できる。生涯の中で一番読み返す小説は『吾輩は猫である』である。二番目は、やはり漱石の『三四郎』であろう。
 太平の逸民。金と権力に屈しない人達がいる。世間と摩擦を起こしながらも彼等は思うがままに生き、喋っている。すべては駄弁である。何の役にも立たぬ。立たぬから面白い。寝転がっているほど楽なものはない。
 今回はLinuxZaurusの電子ブックビューアで読んだ。紙の文庫本と違って注釈がない。『吾輩は猫である』は注釈がなければ面白みは半減する。でも、何度も読んでいるので少しは注釈なくても解った。
 猫は死ぬ。瓶の中で死ぬ。明くる朝、猫の水死体を見つけるのは誰だろう。お三だろうか。すん子かとん子か、はたまた坊ばか。やっぱり苦沙弥先生か。苦沙弥先生は猫の死体を見つけてどうするのだろう。「片付けろ、庭に埋めてやれ」ですますのだろうか。