『霧のとばり』ローズ・コナーズ著/東野さやか訳(二見文庫)読了。

 帯を見ると絶賛の嵐。鮮烈、ノックアウト級とあるが、軽いミステリーだった。衝撃的な部分はなかった。フォトグラフィックな描写、直球エンタテインメントという評価には賛成。軽く読めるエンタテインメントだ。映画にはつらいが、テレビシリーズにはできそうな感じ。
 細切れの記述にはイライラさせられる。女性の一人称というのももう飽きてきた。主人公の少女マンガのようなナルシストぶりにはうんざり。
 赤川次郎や内田康雄らのミステリーも軽いエンタテインメントだ。2時間ほどで読むことができる。大阪東京間の新幹線で読破できるようになっている、と聞いたことがある。それに近い。分厚いミステリーが多いアメリカの小説の中では希有な存在じゃないだろうか。
 しかし、訳が下手。日本語を知らない翻訳者はダメだ。