『半落ち』2004日
最後にはぐっとくるものがあったが、涙は出なかった。ストーリーに納得がいかなかったからだ。
警察官が妻を絞殺、3日後に自首してきた。自首までの2日間、彼は何をしていたのか? 彼はその2日間のことを語ろうとしない……。
その2日間の謎を巡って、県警が右往左往する。その理由が希薄。説得力がない。そんなに深刻になるようなことなのか? なんかわざとらしい。
最後には2日間の謎が明かされるが、その謎も説得力に欠ける。彼が語らない理由としては貧弱だ。
ストーリーの核である2日間の謎にこだわる理由に説得力がないため、映画全体に説得力がなくなっている。素直に泣けない。豪華俳優陣の演技も過剰すぎだし。
面白かったのは、登場人物の中にいわゆる善人がほとんどいなかったこと。ほとんどすべての人物が腹に何かを抱えている。しかし、それは悪意があってのことではなく、自分や家族を守るための行動だ。やむなく人に胸を張れない行動をとってしまう。現実世界というのはそういうものだ。
ストーリーは三流だが、描かれているテーマには一発殴られたような衝撃を受けた。アルツハイマーにはなりたくない。チイ坊にもなって欲しくない。ぽっくり死にたい。