『すべては愛のために』(Beyond borders)2003米

すべては愛のために~Beyond Borders~ [DVD]
 ヒロインがアンジェリーナ・ジョリーだから見ようと思った。でも全然面白くない。それどころか見ていて腹が立ってきたので早送りで見た。こういう善人面した映画は大嫌い。不義、身勝手、傲慢を絶対的正義の下に隠している。それが不愉快。
 ある日突然、ヒロインはエチオピア難民で餓死寸前の子供の姿に心打たれ、夫の金で難民に寄付。自らも物資搬送に同行する。そこで、難民を救う医者と恋に落ちる。帰国後、彼女は国連職員として難民のために働く。そこは立派。でも、アフガニスタン(だったかな?)の難民キャンプで医者と再会し、結ばれる。そして妊娠。帰国後、夫を欺いて出産。夫の子として育てる。医者がチェチェンで危機に陥ると知り、夫と子供を捨ててチェチェンヘ向かう。
 不倫相手の医者。難民を救うのは立派。でも、各地の難民キャンプを点々としており、最後まで面倒は見ないらしい。しかも、難民のための食料を手に入れるため、武装ゲリラのために武器の輸送を引き受ける。その武器でゲリラが内戦を続け、難民を増やし、難民の食料を略奪するのを知りながら。目的のためには手段は選ばず。どこぞの新興宗教の論理と一緒。
 といった不義、身勝手、傲慢を難民救済というオブラートで包んでごまかす。
 この映画の制作費がいくらなのかは知らないが、餓死寸前の子供のシーンを撮る前に、その製作費で食糧を援助してやったらどうかという気になる。偽善とは言わないが、俺達は正義なんだ、という傲慢さが鬱陶しい。