王子の久寿餅


 王子まで歩いたので王子の久寿餅(くずもち)を食べる。400円。味はいいし吸い付く触感もいいが、固い。コンニャクみたいだ。野暮を葛で固めて餅にした感じ。
 この店にくるのは2回目だが、初めてきたのは東京にきて間もないころで、この程度の味で有名店になれるのかと首をかしげた記憶がある。
 秋月のくず餅を食べたことがある者として断言しよう。王子の久寿餅は中の下だ。美味いか不味いかどちらかと言われれば不味い。秋月の透明で滑らかで柔らかで涼やかなくず餅とは比較にならぬ。これをくず餅と呼ぶことを恥ずかしいと思ってほしい。
 持ち帰りの久寿餅を求める客が絶えないが、これを美味しいと食べることは井の中の蛙だと思ってもらいたい。

【訂正】
 日記の記述を正確にするため、王子の久寿餅について調べてみた。ボクは大変な勘違いをしていた。王子の久寿餅は”くずもち”だけど原料は葛ではないらしい。「小麦の強力粉をタンパク質グルテンとでんぷんに分離。水を含んだでんぷんは1年ほど寝かし、店に搬入後、さらに1年近く木だる中で寝かせ発酵させたものが原料」ということだ。でんぷんを固めて蒸したのが久寿餅なのである。であるから、秋月のくず餅とくず餅として比べるのは不条理というもの。失礼しました。
 でも、固い久寿餅は騒ぐほど美味しくはない。